ウォッカやウイスキーなど、蒸留酒にはさまざまな種類があります。その中の1つとしてテキーラがありますが、度数はどのくらいなのでしょうか。
そこで今回は、テキーラの度数を含めた基本情報を紹介しつつ、テキーラの飲み方やおすすめの銘柄などについて紹介します。テキーラの度数が知りたい方はもちろんのこと、テキーラが気になっている方もぜひ最後まで読んでみてください。
テキーラの基本情報
テキーラとは、メキシコで作られている蒸留酒のこと。以前はメスカルの1つとしてまとめられていましたが、1994年から原産地呼称を採用したことにより、別々のものになりました。テキーラという名前の由来は特産地であるハリスコ州にある町、サンティアゴ・デ・テキーラから。特に1968年に開催されたメキシコオリンピックにて、テキーラが世界に広がりました。
テキーラの原材料と製造方法
テキーラの原材料は、竜舌蘭という植物。アガベと呼ばれることもあり、メキシコを中心としたアメリカ南西部や中南米の熱帯地域に自生しています。テキーラを作る場合は、竜舌蘭すべてを使うのではなく、硬く鋭い葉の根元にある大きな球茎を使用。長い年月をかけて育った球根は30kgほどもあり、大きなものであれば100kg近くになることも。見た目がパイナップルに似ていることから、スペイン語でパイナップルを意味するピニャと呼ばれることもあります。
製造方法としては、まずピニャを収穫して加熱。加熱することででんぷんが糖分に変わっていきますが、加熱方法に関しては蒸留酒で異なることがあります。例えば、200年以上テキーラを製造してきたラ・ロヘーニャ蒸留所の場合は、伝統的な石窯を用いて加熱。加熱後はゆっくりと冷やされ、搾汁から発酵、そして蒸留へと移ります。その後は熟成して完成。なお、蒸留に関してはメスカルの場合1回しか蒸留しないのに対し、テキーラは2〜3回蒸留されます。
テキーラの度数
テキーラと聞くとかなり度数が高そうなイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。テキーラの度数は35度~55度で、認定機関の規則として定められています。ビールや日本酒などと比べると高いですが、ウイスキーとほぼ同じ度数です。むしろ、テキーラよりもさらに強いお酒もあり、世界で最も度数が高いとされるスピリタスの場合は96度もあります。
テキーラのカロリーや糖質は?
体型を気にしている方にとっては、やはりカロリーや糖質が気になりますよね。テキーラの場合、100ml当たりのカロリーが231kcalもあります。ビールやワインと比べると高いため、抵抗があるかもしれません。しかし、テキーラのような蒸留酒は少しずつ飲むことが多いため、量でカロリーを調整することが可能。また、お酒のように脂質といった栄養素を含まないカロリーはエンプティカロリーと呼ばれており、体内に蓄積されることなく優先して消費されるので太らないとされています。とはいっても、お酒を飲むと食欲が増してしまうため、おつまみの食べすぎには注意しましょう。
糖質に関しては、テキーラに含まれていません。そのため、糖質制限中の方でも気軽にテキーラを楽しめるでしょう。
テキーラの飲み方とは?
テキーラといえばショットで飲むようなイメージがあるかもしれません。しかし、それだけしか楽しめないわけではなく、ロックやカクテルとして飲んでも香りや味わいを楽しめます。そこでこの項目では、主な飲み方をいくつか紹介します。ぜひこの項目で、自分に合った飲み方を見つけてみましょう。
サッと飲むならショット
やはりサッと飲むのであれば、ショットがおすすめ。ただ、テキーラには独自のショットスタイルがあります。まずテキーラ以外に、塩とライムを用意しましょう。その後、親指と人差し指の間でライムで湿らせて、その上に塩を乗せます。次に乗せた塩を舐めたら、その味が消えないうちにササッとテキーラを飲みましょう。ただ、すべて飲むのはNGであり、飲み切る前にライムをひとかじり。最後に再度塩を舐めます。
このスタイルには意味があり、ライムをかじることでビタミンCが喉をアルコールから守ってくれる上に悪酔いを防いでくれる効果も。塩は唾液の分泌を促すため、こちらも喉をアルコールから守ってくれるとされていますが、その効能は無いという指摘もあります。ただ、伝統的なショットの飲み方であるため、自宅でテキーラを飲む際にチャレンジしてみてはどうでしょうか。
しっかり楽しむならストレート
テキーラの味わいや香りをしっかりと楽しみたいのであれば、ストレートで飲みましょう。その場合は冷やさずに常温のままで、ブランデーグラスやトワイスアップグラスといった香りが楽しめるグラスに注いでいきます。なお、ストレートで飲む際は水を用意しておきましょう。水を飲むことで口の中をリセットできるため、味がぐちゃぐちゃになってしまうことを防ぎます。水の温度に関しては、熟成されていないテキーラには常温水を選び、レポサドテキーラには冷却水を選びましょう。
他のリキュールと混ぜたカクテル
テキーラを使ったカクテルはさまざまあり、他のリキュールと合わせて作ってみるのもおすすめです。具体的なカクテルとしては、ロングアイランド・アイスティーやマルガリータ、テキーラ・サンライズなど。テキーラを使ったカクテルはさまざまあるため、気になるものを作ってみましょう。また、バーに行ってテキーラを使ったカクテルを作ってもらうという方法もあります。
香りや味を楽しむロック
ストレートだと強すぎる場合には、ロックが良いでしょう。テキーラはそこまで温度が高いお酒では無いことから、ロックにすることで味わいだけではなく、香りもスッキリと飲みやすいものへと変化します。また、氷が溶けることで味わいや香りが変化するところも、ロックの魅力的なポイント。なお、ロックで飲む際は冷蔵庫の氷ではなくロック用のアイスを用意しましょう。ロック用の氷は溶けにくいため、ゆっくりと味の変化を楽しめます。
テキーラを選ぶ上で知っておきたいポイント
テキーラにはさまざまな種類があるため、初心者にとってはどれが良いのか迷ってしまうことでしょう。そこでテキーラを選ぶ上で知っておきたい2つのポイントを紹介します。このポイントを覚えていれば、ある程度自分の好みにあったテキーラを見つけやすくなるでしょう。
アガベの配合割合
1つ目のポイントは、アガベの配合割合です。アガベの配合割合によって、100%アガベ・テキーラとミクスト・テキーラに分かれます。100%アガベ・テキーラは、原材料がアガベしか使っていないテキーラのことであり、アガベ以外のものが含まれている場合はミクスト・テキーラです。ただ、ミクスト・テキーラでもアガベを51%以上使用しなければならないため、ほとんどアガベが入っていないということはありません。なお、日本で流通しているテキーラの多くは後者のミクスト・テキーラです。
熟成期間
上記で述べたように、テキーラを作る上では熟成が欠かせません。ただ、テキーラもウイスキーのようにどのくらい熟成するかによって味わいが変化します。もちろん、高級なテキーラほど熟成期間が長く、安いテキーラほど熟成期間が短いか樽による熟成を行っていません。
熟成期間に関しては、ブランコ・レポサド・アネホ・エクストラアネホの4つに分けられます。ブランコは樽熟成をしないもしくは樽詰めして60日未満のものを指し、シルバーと呼ばれることも。もしブランコと他の樽貯蔵をブレンドしたり、カラメルで着色したりした場合はホーベンと呼ばれます。次のレポサドは、2ヵ月以上で1年未満のものを指し、アネホは1年間~3年未満のものです。さらに熟成させるとエクストラアネホとなりますが、気温が高いメキシコの場合は貯蔵樽からの蒸散が多いため、貴重なテキーラとなります。
テキーラのおすすめ銘柄とは?
この項目では、「ホセ・クエルボ」や「エラドゥーラ」など、初心者向けのおすすめ銘柄をいくつかピックアップして紹介します。もしどのテキーラが良いのか分からないのであれば、この中から選んでみてはどうでしょうか。
ホセ・クエルボ
テキーラの中でも特に有名な「ホセ・クエルボ」は、上記でも登場した歴史が深いラ・ロヘーニャ蒸溜所で製造されている銘柄です。テキーラを飲まない人でも知られているほどの知名度を誇っており、「ホセ・クエルボ」でテキーラデビューした方もいることでしょう。「ホセ・クエルボ」自体はさまざまな種類があり、高級テキーラでもある100%アガベ・テキーラも扱っています。
「ホセ・クエルボ」は基本的にクセが少ないテキーラであるため、初めてテキーラを飲む方にぴったりです。味わいは安定している上に入手しやすいことから、自宅でテキーラを飲みたいときにもおすすめ。なお、メキシコでは国内第2の都市であるグアダラハラからテキーラ地区への列車としてクエルボ・エクスプレスが走っています。
パトロン
「パトロン」は、プレミアムテキーラが注目されるきっかけとなった銘柄です。ハリウッドセレブを中心に世界各国へ広がり、現在では国際的な人気を誇ります。素材や製法に対してのこだわりが強く、原材料であるアガベに関しても厳選した最高品質を使っています。
「パトロン」ははちみつのように甘いながらも、なめらかな味わいが特徴的。種類も幅広く、「パトロン シルバー」や「パトロン レポサド」、「グランパトロン プラチナ」などがあります。ボトルも独特かつおしゃれであるため、飲み終わったら部屋に飾ってみるのもいいでしょう。
サウザ ブルー
「サウザ」は、テキーラの父とも呼ばれるドン・セノビオ・サウザによって1873年に創業されました。父と呼ばれる理由は、彼が初めてラベルにテキーラを記したためということと、初めて他国にテキーラを広げたため。その後、ドン・エラディオ・サウザやドン・フランシスコ・ファビエル・サウザによってさらに「サウザ」が広がり、テキーラの原産地呼称制度の成立にも尽力しました。
「サウザ」の種類は「サウザ スリージェネレーション プラタ」や「サウザ ゴールド」などがありますが、その中でもおすすめの銘柄が「サウザ ブルー」です。「サウザ ブルー」はブルーアガベを100%使用したテキーラであり、飲みやすいことが特徴的。テキーラ好きの中でも定番商品であり、非常にフルーティーな味わいながらも、シトラスに近い香りも楽しめます。ストレートはもちろんのこと、カクテルのベースとして使っても美味しいため、好きな飲み方で楽しんでみましょう。
カルマ・テキーラ シルバー
「カルマ・テキーラ」は、1937年に家族経営の蒸留所で誕生しました。アガベを100%使用しており、苦味の原因となってしまうアガベの芯を手作業で除去しています。また、製造する際に2回蒸留と3回蒸留を分けており、バランスの良い割合で配合。そうすることにより、そうすることにより、味わい深さがありながらも非常にスッキリとしたものにしています。
「カルマ・テキーラ シルバー」は、さまざまなシーンで使える銘柄。ストレートでゆっくりと味わうのもいいですが、ロックでアルコール度数を抑えて楽しんだり、他のリキュールと合わせてカクテルとして飲んだりするのもおすすめです。
ポルフィディオ
「ポルフィディオ」は、さまざまあるテキーラの中でも特に品質が良いとされる銘柄。サボテンのイラストがトレードマークであり、かの有名な俳優であるロバート・デ・ニーロが愛飲していたお酒としても知られています。こちらもアガベを100%使用しており、雑味が少ないクリアな味わいが楽しめるでしょう。
また、製造工程が独特なところも「ポルフィディオ」の魅力的なポイントで、糖化と圧搾の順序を逆転させることでメチルアルコール含有量を半分以下に。そのおかげで、体に優しいお酒と評価する方もいます。
ただ、実際のところ「ポルフィディオ」は正式にテキーラと呼ぶことはできません。テキーラと認められるための条件をほとんどクリアしているのですが、テキーラ規制委員会に加入していないため、正式にテキーラと呼ぶために必要な製造者番号が無いのです。そのことから、「ポルフィディオ」のラベルにはテキーラという文字がどこにもありません。
エラドゥーラ
「エラドゥーラ」は、安いながらも質の高いテキーラです。アガベ100%のテキーラで、「エル ヒマドール ブランコ」や「エル ヒマドール レポサド」、「エラドゥーラ プラタ」などの種類があります。口当たりは柔らかい上に上品で、アガベが持つ旨味や甘さを味わえるでしょう。
「エラドゥーラ」の特徴としては、熟成期間が挙げられます。一般的なテキーラよりも熟成期間が長く、種類が同じテキーラであっても、「エラドゥーラ」のほうが味わい深く感じられるでしょう。なお、「エラドゥーラ」を製造している同じ蒸留所のブランド「エル ヒマドール」は、メキシコ国内でのテキーラ販売数量でナンバーワンとなっています。
度数が高いお酒との付き合い方
テキーラの度数は35度~55度ですが、それでもお酒が弱い方や飲み慣れていない方にとっては、悪酔いしそうで不安になるかもしれません。もしそうであれば、以下の方法を用いてみましょう。
空腹を避ける
お酒を飲む際は、空腹を避けましょう。胃の中に何も入っていないままアルコールを摂取すると、体内への吸収が速くなって酔いやすくなります。食事と一緒に飲んだり、事前に食事した後に飲んだりすることでアルコールの吸収速度を遅らせることが可能。お酒のペースも抑えられるため、一石二鳥といえます。
ただし、お酒を飲むことで食欲が増すため、カロリーを気にしている方は注意が必要です。もし食事しながらお酒を飲みたいのであれば、脂っこいものではなく、大豆製品や乳製品などを食べるようにしましょう。
チェイサーを用意する
店で蒸留酒をストレートで飲む場合、基本的にはチェイサーが用意されます。チェイサーは強いお酒の間や飲んだ後に飲むドリンクであり、水やビールなど。ただ、基本的にはチェイサーとして水が出されるため、ビールが出されそうで不安になる必要はありません。
まとめ
今回の記事では、メキシコ生まれの蒸留酒であるテキーラの度数や主な飲み方、おすすめの銘柄などを紹介しました。テキーラは度数がやや高いお酒ですが、飲み方や飲む上での注意点などを押さえておくことで、味わいや香りなどを楽しめます。銘柄もさまざまあるため、自分の好みに合わせて選んでみてはどうでしょうか。人によっては、愛飲するほどハマってしまうようなテキーラに出会えるかもしれません。