卵のリキュール『アドヴォカート』

目次
アドヴォカート誕生秘話気になるその作り方とは
アドヴォカート誕生秘話
アドヴォカートは、オランダの伝統的な、黄色い濃厚なクリーム状の、甘いリキュールです。 その発端は、なんと熟すと黄色くなるフルーツ「アヴォカド」のお酒を真似たことからなのです。 数百年前、燃えるような褐色の肌をした先住アメリカ人たちが愛飲していたと伝えられる、黄色のアヴォカドのお酒がありました。 彼らはアマゾンの周辺に住み、この地でとれるフルーツから、夢のような色をしたそのお酒を作っていたそうです。 森のバターとも呼ばれる濃厚な風味が、蜂蜜やスパイスとともにアルコールに溶け込み、おそらくえもいわれぬ風味のお酒であったことでしょう。 その後南アメリカは、やがてヨーロッパの国々からやってきた入植者たちによって開拓されていきますが、最初にこの黄色のお酒を発見したのはポルトガル人だといわれています。 そして、インド、さらにはインドネシアにまで、このお酒は広まっていくのですが、珍しいおみやげとしてヨーロッパに持ち帰ったのはオランダの入植者でした。 しかし、ここで、はたと困った問題が生じます。 飲んだ人々は、いままでに味わったことのない濃厚なおいしさの虜になってしまうのですが、同じものを作りたくとも、ヨーロッパ北部では熱帯フルーツのアヴォカドは栽培できません。 このまま忘れ去られても不思議ではなかったのですが、なんとか同じような風味のお酒を作り出したいと情熱を注ぐ人々のおかげで、新たなお酒が誕生しました。 それが『アドヴォカート エッグ・リキュール』でした。 その名からもわかるように、アヴォカドに代わる原料として選ばれたのは卵黄でした。
気になるその作り方とは
卵の黄身から作られる『アドヴォカート エッグ・リキュール』ってどうやって作られているのでしょう。 それは、材料であるブランデー、卵、砂糖、香味成分を、ボイラーで50数度まで加熱し撹拌します。 香味成分には、フェンネル、レモン果皮、バニラなどが使われます。 すると、ドロリと甘いなめらかな口当たりになり、色はもちろん、味や香りまで、幻の南米のお酒とそっくりになったのです。 このお酒には、アドヴォカート、つまりオランダ語で「弁護士」という意味の名前が付けられました。 この酒を飲むとまるで弁護士のように弁舌がさわやかになるとうたわれています。 アドヴォカートには2つの種類があります。 1つは、上記のように作られたアドヴォカート。 あと1つの「濃い」アドヴォカートは、主にオランダ国内で販売されていて、上記のものと違い卵白も含まれていて、そのままスプーンですくって食べたり、アイスクリームやペーストリーなどのデザートに用いたりします。 また、食前酒・食後酒として出されることもあります。 また、口の広いグラスに入れてホイップクリームをかけ、上からココアパウダーをまぶして供されるのがオランダの伝統的な食べ方です。