アランとは?定価や限定品の情報を解説。

1995年、スコットランドで誕生したアランは、近年人気を集めるシングルモルトウイスキーです。しかし、まだ日本での認知度は低く、知らない方も多いでしょう。
アランは、こだわりの製法で質の高いウイスキーを数多くリリースしています。2020年にはボトルパッケージを一新し、これからさらに注目されるブランドとなっていくでしょう。
今回は、澄んだ味わいが魅力の「アラン」についてや定価、限定品の情報を紹介していきます。
アランとは?

アランとは、スコットランドのアラン島で造られているスコッチウイスキー。分類としては、単一の蒸溜所で製造されるシングルモルトウイスキーです。
スコッチウイスキーには大きく6つの産地エリアがあり、アランはその中の「アイランズ系」に属します。アイランズ系に属するウイスキーは、本土から離れている島々それぞれが個性を光らせているのが特徴で、アランもそのひとつ。
アランは、独自のこだわり抜いた原料と製法で生み出される豊かな自然の味わいと、しっかりとした味わいでありながらクセがない飲みやすさが魅力です。
まだ歴史は30年ほどと浅いながら多くの賞を受賞しており、英国女王賞や、スコットランドの年間最優秀蒸溜所に選ばれたこともあるほど、世界的に評価を受けているウイスキーと言えるでしょう。
2020年にはボトルのデザインを一新。現在のボトルには二羽のワシが描かれています。これは蒸溜所の建設当時、裏の山に巣をつくっていたワシで、蒸溜所とともに過ごしてきた、アランに欠かせない存在と言われています。
アランの歴史

スコットランドの小さな島、アラン島。この島には現在二つの蒸溜所が存在します。その「ロックランザ蒸溜所」と第二蒸溜所の「ラグ蒸溜所」でアランは造られています。
アラン島にはかつて約50もの蒸溜所が存在していました。しかしスコットランドの酒類に対する税が生産者を苦しめ、1837年にはすべての蒸溜所が閉鎖。アイラ島ではウイスキーが造られなくなってしまいました。
それから150年以上の時を経て、ついに蒸溜所が復活。それが、アランを製造する現在の「ロックランザ蒸溜所」です。
創立者は、スコッチ業界に大きく貢献した経歴をもつハロルド・カリー氏。カリー氏とその息子は、資金繰りのためにまず債権を発行しました。その購入者は、蒸溜所が完成した後、優先的にウイスキーを受け取ることができ、その後も割引価格で購入し続けることができるという特典をつけて、販売しました。
そのクラウドファンディング的な発想は見事に成功。復活を待ち望んでいた投資家や島民の後押しもあって、カリー氏は70歳にして自分の蒸溜所をもつという夢を叶えたのです。
アランの製法
アランを製造するロックランザ蒸溜所は、”量より質”の小規模なウイスキー生産を行う、いわゆるクラフト蒸溜所です。近年開発されたコンチェルト大麦を使用し、ポットスチルは単式で二度蒸留。単式の蒸留器を使用することで、風味や香りを残すようにしています。
ウイスキーの一般的な工程にチルフィルター(冷却ろ過)がありますが、アランは、本来の香りや味わいをそのまま残すため、一切の冷却ろ過を行わないノンチルフィルタード製法をとっています。
そしてアラン造りに欠かせないのが、標高874mを誇る山の間に湧き出る、純度の高いロッホ・ナ・ディヴィーの沸き水。この水こそが、蒸溜所を設立する土地として選んだ理由のひとつでもあるほどです。
温暖な気候と海風、澄んだ空気、この自然すべてがアランの質の良さと味わいにつながっています。
アランの10年の特徴

アランの数ある種類の中で、最も人気が高くスタンダードボトルとも言える10年。
暖かみのあるゴールドの色味が美しく、アランらしいシトラスの風味が広がります。澄んだフルーティーさと濃厚なバニラの甘み、スパイシーなシナモン。モルトの味わいが感じられつつ、口当たりがやわらかい飲みやすさが特徴です。
そんなアラン10年は、ボトルのリニューアルが行われたことをきっかけに再注目され、人気が高まり品薄状態が続いています。一時は購入本数に制限をかけている販売サイトもあったようです。
アラン10年は世界的な賞を多数受賞しています。そのため世界中からの需要が大幅に拡大。アランのように小規模な生産体制である蒸溜所は、人気が高まっても生産数を一気に増やすことはできません。こだわりである、高品質な特定の原料を使用していることも、生産を増やせない原因のひとつです。
需要に対し供給が追いつかないことが品薄の原因と言えるでしょう。
アラン10年の定価
クセがなく、初心者にもおすすめできるバランスの良さが魅力のアラン10年の定価は、公式ブランドサイトで39.16ポンド(日本円で約7,624円)です。※2025年5月現在流通価格は約6,000〜8,000円ほどと定価と大きな差はありません。店舗ではなかなか見かけない商品ではあるようですが、オンラインショップなど、まったく手に入らないわけではないようです。買取市場でも人気があり、平均3,000円ほどの値がついています。
しかし近年は、世界的なウイスキーブームもあり、原酒不足などでさまざまなウイスキー銘柄が値上げをし始めています。大量生産が難しい銘柄ほど供給が追いつかず、市場では定価の倍以上の値段になることも少なくありません。
特にアランはブランドとしての歴史はまだ浅く、今後どのように発展していくのか楽しみな銘柄でもあり、注目度が高いです。
アラン独自のシトラスの香りとモルトらしい甘味は、今後も世界中の愛好家を魅了することでしょう。試してみたい方は、価格が落ち着いているうちに購入してみることをおすすめします。
アラン10年とその他年代の違い
アランは種類も豊富。リリースされた商品の違いを見てみましょう。商品名 | 定価 | 流通価格 |
---|---|---|
アラン 10年 | 39.16ポンド (日本円:約7,624円) |
約6,000〜8,000円 |
アラン バレルリザーヴ | 32.49ポンド (日本円:約6,325円) |
約4,500~6,000円 |
アラン シェリーカスク | 49.99ポンド (日本円:約9,732円) |
約8,500~10,000円 |
アラン クォーターカスク | 45.83ポンド (日本円:約8,919円) |
約7,000~9,000円 |
アランモルト 18年 | 108.33ポンド (日本円:約21,084円) |
30,000円前後 |
アラン ソーテルヌカスク | 45.83ポンド (日本円:約8,921円) |
約10,000円~ |
アラン アマローネカスク | 45.83ポンド (日本円:約8,921円) |
約12,000円~ |
アラン ポートカスク | 45.83ポンド (日本円:約8,921円) |
約10,000円~ |
アラン ロバート バーンズ シングルモルト | 31.66ポンド (日本円:約6,168円) |
約5,000円~ |
アラン10年のおすすめの飲み方
アラン10年は、ストレートからカクテルまで楽しめる万能なシングルモルトウイスキーです。世界的にも評価されているアラン10年を、お好きな飲み方で試してみてください。■ストレート
ストレートは、シングルモルトらしい蒸溜所の個性がしっかりと味わえます。ノンチルフィルタード製法による豊かな香りと味わいを感じてみて下さい。ストレートに挑戦するウイスキーとしてもおすすめです。
■ロック
ロックにすると甘みと香りが際立ち、飲みやすさが増します。氷が溶けるにつれて変化する楽しさが魅力で、ビター感と甘みの両方を感じられるおすすめの飲み方です。
■トワイスアップ
ストレートが苦手という方でも試しやすいのがトワイスアップ。香りが開き、フローラルな印象に変わります。元々飲みやすいアランですが、少しずつ加水してアルコールの刺激が和らいでいくのを楽しんでみてもいいでしょう。
■ハイボール
アラン特有のシトラスや柑橘系を際立たせてくれるハイボールは、さわやかで美味しく仕上がります。炭酸に負けることのないコクやフルーティーさが食中酒としてもぴったりです。
まとめ
アランは1995年の創業以来、確実な成長を遂げている人気銘柄です。歴史はまだ浅いものの、数多くの賞を受賞し、世界中から需要が高まっています。自然豊かなアラン島の澄んだ味わいとこだわり抜いた独自の風味は、今後の発展をますます期待させ、多くの愛好家を楽しませてくれるでしょう。
初心者でも飲みやすいアランを試してみたい方は、手に入りやすい内に購入することをおすすめします。この機会にぜひ、シングルモルトの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。