ウイスキーの賞味期限は?未開封・開封後の正しい保管方法や注意事項を解説!
本記事では、ウイスキーの賞味期限や、未開封と開封後の正しい保管方法、ウイスキーを管理する上での注意点について解説します。余ったウイスキーの活用方法もまとめているので、ウイスキーの処分に困っている方も参考にしてください。
目次
そもそもウイスキーとは?
ウイスキーの賞味期限について知る前に、まずはウイスキーの基礎知識をチェックしてみましょう。ウイスキーの定義は国によって異なりますが、一般的には穀類を原料として使用し、糖化や発酵の後、蒸留して木製の樽で貯蔵熟成させて造るお酒のことです。
原料には、大麦麦芽やライ麦、とうもろこし、小麦などがあり、このうち1種類のみを使って造られるものもあれば、複数の原料を配合して造られるものもあります。
大麦麦芽だけを原料とし、単式蒸留機を使って蒸留したものはモルトウイスキーと言います。このうち、単一蒸留所のモルト原酒のみで造られたウイスキーはシングルモルトウイスキーと呼ばれており、その蒸留所の個性が強く出るところが特徴です。
一方、とうもろこしなどの穀類を使用し、連続式蒸留機で蒸留したものはグレーンウイスキーと呼ばれます。モルトウイスキーとブレンドしたものはブレンデッドウイスキーと言い、軽くてすっきりした味わいになります。
このように、使用する原料や配合量によって風味が変わるのもウイスキーの魅力です。また、他の酒類より醸造に手間ひまが掛かるのもウイスキーならではの特徴と言えます。
例えば、ビールは原料の仕込みと発酵のみです。焼酎は仕込みと発酵の後、1回の蒸留によってそれぞれ造られます。それに対し、ウイスキーは発酵の後、2回以上蒸留し、さらに樽で貯蔵熟成させて仕上げられます。
木製の樽の中で長期間掛けて熟成させることで、深みのある琥珀色とまろやかな香り、深いコクを生み出すことが可能です。
ウイスキーは度数の高いお酒として知られていますが、これはイギリスやアメリカで定められた標準の度数を踏襲しているためです。イギリスでは19世紀に75ブリティッシュプルーフ(日本の43度)を標準と定めており、アメリカでは80アメリカンプルーフ(日本の40度)を標準としています。
ただ、度数の高低によって味わいが変化するものもあるため、銘柄によって度数を調整するものもあります。実際、銘柄によってはアルコール度数が50度を超えるものも少なくありません。
このような規定を踏襲しつつ、ウイスキーは世界中で生産されていますが、中でも有名な生産国とされているのがスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5カ国です。これらの国はウイスキー造りの技術、品質、生産量などあらゆる面で優れており、世界の5大ウイスキーと呼ばれています。
特に日本は他の国に比べるとウイスキー後進国ですが、国内の酒造メーカーが長年掛けて培ってきた技術とノウハウを駆使して高品質なウイスキーを生産しており、今では国内だけでなく世界から注目される、ジャパニーズウイスキーとして高い評価を受けています。
ウイスキーの賞味期限
気になるウイスキーの賞味期限ですが、結論から言うと、ウイスキーに賞味期限は存在しません。実際にウイスキーのボトルやパッケージを調べてみると、賞味期限や製造年月が表示されていないことが分かります。
日本では、一般消費者に直接販売される生鮮食品や加工食品には消費期限、あるいは賞味期限の表示を義務づけていますが、なぜウイスキーには賞味期限の表示がないのでしょうか。
実は、賞味期限の義務表示には例外があり、品質の劣化が極めて少ないものや、酒精飲料については消費期限・賞味期限の表示を省略してもよいことになっています。(※)
そもそも賞味期限は、その食品の品質を維持できる期限を示すものですが、品質の劣化や腐敗の原因となるのは細菌の働きによるものです。細菌は高アルコール度の環境下では生息することができないため、酒類には賞味期限や消費期限を表示しなくてもよい決まりになっています。
特にウイスキーはアルコール度数が40度以上と高いため、適切に保存していれば長期間にわたって品質を保持することが可能です。
※参考:農林水産省「加工食品の表示に関する共通Q&A」
ウイスキーの正しい保管方法
ウイスキーに賞味期限はないと説明しましたが、お酒はデリケートな飲み物なので、誤った方法で保管すると品質が変わってしまうことがあります。お気に入りのウイスキーの品質を長持ちさせたい場合は、正しい保管方法を知っておくことが大切です。ウイスキーの保管方法は、未開封の場合と開封した後で気を付ける点がやや異なるので、ウイスキーの状態に合わせて適切な方法を選択しましょう。
未開封のウイスキーの場合
未開封のウイスキーを保管する際に留意したいのは、以下4つです。
- 直射日光を避ける
- 高温多湿を避ける
- においのある物に近付けない
- 空気を遮断する
また、太陽光によってボトル内の温度が上昇すると、ウイスキーの風味に影響を及ぼすことも考えられるので注意しましょう。直射日光が当たらないところでも、高温多湿になりやすい場所での保管は避けた方が無難です。
例えば、キッチンシンクの下や床下収納は、湿気が溜まりやすい場所なので要注意です。冷蔵庫の隣も避けたい場所で、庫内は冷えているものの家電製品ゆえに周囲は熱がこもりやすいので、高温になりやすい傾向にあります。
他にも、においや香りのある物と一緒に保管するのには注意が必要です。ウイスキーは芳醇な香りを楽しむ飲み物なので、他の物からにおいが移ると魅力が半減してしまうおそれがあります。
未開封の状態でも、ボトルに匂いが移るとウイスキーの香りを妨げる要因になるので、芳香剤や香水などの近くでの保管はNGです。
最後に、空気をしっかり遮断することも重要なポイントの一つです。未開封の場合、開封済みの場合に比べると外気は侵入しづらいですが、完全にシャットアウトできるわけではありません。
ボトル内に空気が入り込むと酸化が進み、ウイスキーの風味が損なわれる可能性があるので、パラフィルムと呼ばれるテープの一種を巻き付けて密閉性を高めることをおすすめします。
開封後のウイスキーの場合
開封後のウイスキーの保管方法は、基本的に未開封のウイスキーと同じです。ただ、ウイスキーは一度開封するとボトル内に空気が入り込むため、徐々に酸化が進んでしまいます。におい移りの影響も受けやすいので、未開封のウイスキーよりも、適切な保管場所の選定やパラフィルムを使った密閉などを徹底することが大切です。
なお、飲料の多くは開封後、冷蔵保存が推奨されますが、ウイスキーに関しては冷蔵庫での保管は禁物です。ウイスキーは年間を通して10~20度くらいの場所で保管するのがベストとされています。
冷蔵庫は10度以下に設定されている物がほとんどなので、ウイスキーを冷蔵保存するとかえって風味が損なわれる可能性があります。
また、冷蔵庫にはいろいろな食材が保管されているため、ウイスキーの保存には不向きです。そもそもウイスキーは腐敗の心配がないので、冷蔵保存の必要はありません。たとえ開封後でも、ウイスキーを冷蔵庫に入れるのはやめましょう。
どのような場所がウイスキーの保管に適しているかというと、おすすめはワインセラーです。ワインセラーは直射日光が入らず温度や湿度も調節できるので、ウイスキーの保管にぴったりでしょう。自宅にワインセラーがない場合は、食器棚や納戸などの冷暗所に保存しましょう。
ただし、場所によっては湿気が溜まることもあるので、除湿剤などを活用して適切な環境を整えることが大切です。
開封したウイスキーはいつまで飲めるか?
一度開封したウイスキーは外気に触れるため、少しずつ劣化が進んでしまいます。上記で紹介した適切な保存方法を実行すれば品質劣化をある程度食い止めることは可能ですが、未開封の状態に比べると徐々に質が落ちてしまうリスクは否めません。
未開封のときの香りや味わいを楽しみたいのなら、開封後は適切な方法で保存した上で、半年以内に飲みきるのが理想とされています。
ただ、夏場など気温や湿度が高くなりやすい時期は、劣化が早く進む傾向にあります。夏季をまたぐ場合は、いつもより早めに飲みきることを心掛けましょう。
また、開封しているウイスキーは一般的に買取不可となるため、ウイスキーの売却を考えて空けないことも選択肢に挙げられます。
缶ハイボールは賞味期限が大体1年に設定されている
ウイスキーには賞味期限がないと説明しましたが、ウイスキーを炭酸で割った缶ハイボールには賞味期限が表示されています。缶ハイボールはアルコール飲料なので腐敗する心配はありませんが、時間の経過とともに炭酸が抜けると、品質が変化してしまうためです。缶はペットボトルよりも密閉性が高い容器とされていますが、それでも炭酸の抜けを完全に防ぐことはできません。そのため、缶ハイボールには炭酸が抜け始める頃合いを基に、大体1年くらいの賞味期限が設定されています。
缶ハイボールの賞味期限についてはメーカーや製品によって異なるので、ゆっくり飲みたい場合はあらかじめ缶や箱に記載されている賞味期限をチェックしておきましょう。
ウイスキーを管理する上での注意事項
ウイスキーを自宅で管理する際に気を付けたいポイントを2つご紹介します。
①コルク栓のウイスキーには注意が必要
ウイスキーのボトルの栓は、大きく分けるとコルク栓とスクリューキャップの2つに分類されます。このうち、コルク栓は伝統的なウイスキーの栓として用いられてきた歴史があり、ウイスキーの自然な風味や香りを保てるところが利点です。ただし、コルク栓はコルクガシと呼ばれる天然木の樹皮を加工して作られたものなので、時間が経過すると収縮するリスクがあります。コルク栓が元のサイズよりも小さくなると、わずかな隙間から外気が侵入し、ウイスキーの質が劣化する原因となることがあります。
コルク栓を使用しているウイスキーの場合は、未開封でもパラフィルムを使って密閉するなど、保存方法により注意を払った方がよいでしょう。
②ウイスキーは縦置きで保管する
ウイスキーを横に寝かせて保管しておくと、空気に触れる面積が大きくなってしまい、劣化が早まるおそれがあります。また、コルク栓の場合、時間経過による収縮が起こったときに中身が漏れる危険性もあります。ウイスキーを保管するときは縦置きを原則とし、横に寝かせないよう注意しましょう。
余ったウイスキーの活用方法をご紹介
半端に余らせてしまったウイスキーは、料理に活用することで上手に消費できます。ウイスキーを料理に使うことで、ウイスキー特有の香りが素材に付加され、風味を引き立てることが可能です。また、魚介や肉類などの下味に使うと、繊維を柔らかくできるだけでなく、素材の臭み消しにもなります。臭いの強い食材を使用するときは特におすすめです。
他にも、ウイスキーは甘いものとの相性も抜群になります。ガトーショコラやケーキの風味付けに使うなど、お菓子作りに活用するのもよいでしょう。
ウイスキーに賞味期限はないが保管方法には注意しよう
ウイスキーはアルコール度の高いお酒なので、基本的に賞味期限はありません。ただし、紫外線や温度、湿度、空気などの影響を受けると品質が劣化し、ウイスキーの香りや味わいが損なわれる可能性があります。
ウイスキーの質を長持ちさせたい場合は、保管方法には細心の注意を払い、品質の劣化をなるべく防ぐことを心掛けましょう。余ったウイスキーは、料理やお菓子作りなどに有効活用できます。
なお、同じウイスキーを使った商品でも、炭酸水を使用した缶ハイボールは時間経過とともに気が抜けていくので、賞味期限は1年程となります。缶ハイボールを保管するときは期限切れに注意しましょう。