ウイスキーとブランデーの違いは?原料、種類、飲み方などを解説
ウイスキーとブランデーの違いとは
ウイスキーとブランデーはともに琥珀色をした洋酒であり、アルコール濃度も40度前後と共通点がたくさんありますが、大きな違いがあります。ここではまずその相違点を説明していきましょう。ウイスキーの原料は穀物類
ウイスキーとブランデーで決定的に違うのは原料です。ウイスキーの原料となっているのは大麦、ライ麦、とうもろこしなどの穀物類であり、果実は使われていません。ブランデーの原料は果実類
ブランデーの原料となっているのはぶどう、りんご、さくらんぼ、洋梨などの果実類です。果物の種類や製造されている場所によって、ブランデーはいくつかの種類に分けられ、名称も独自のものがあります。製造方法にも違いがある
ウイスキーもブランデーも蒸留酒であるという点は一緒ですが、製造方法には違いがあります。ウイスキーもブランデーも酵母をまぜて糖分を発酵させることで、アルコールと二酸化炭素に分解し、アルコール度数が数%の液体へと変化させる工程は同じです。しかしその前段階の工程はやや異なります。 ウイスキーの原料である穀物類には糖分がほとんどないため、そのままでは発酵させることができません。麦芽を使ってデンプン質を糖に変えてから発酵させるのです。その後、蒸留させて樽で熟成するのですが、この具体的な製造法についてはウイスキーの種類によって異なります。 ブランデーは原料が果物であり、糖分を多く含んでいるため、糖に変える工程は必要ありません。そのまま発酵させた後、ウイスキーと同様に蒸留という工程を経てブランデーになるのです。ウイスキーはスモーキー、ブランデーはかすかに甘い味
ウイスキーとブランデーの見た目は似ていますが、味は違います。ウイスキーの製造工程で使われる麦芽は多くの場合、ピートと呼ばれる泥炭の煙で乾燥されており、その煙によるスモーキーな香りがウイスキーの大きな特徴となっているのです。一方、ブランデーは果実が原料であるため、フルーティーでかすかな甘みがあります。いずれも未開封ならば賞味期限はなし
ウイスキーもブランデーもアルコール濃度が40度前後あるので、菌が繁殖しづらく、未開封の場合は賞味期限がありません。ただし、フタの素材にコルクが使われている場合は、コルクの劣化に気をつけましょう。コルクの原料は樹皮の皮であるため、まれに菌がついたままになっていることがあり、その菌がウイスキーやブランデーの成分と反応してカビのようなコルク臭を発生する場合があるのです。コルク臭があっても、体に害はないので、飲めないことはありません。ただし味も風味も劣化してしまうので、料理酒などとして再利用しましょう。 味の劣化を防ぐには温度変化の激しい場所と紫外線のあたる場所を避けて保管することが必須です。冷暗所に保存するのが味を劣化させず長く保存するコツとなります。 開栓後はどんなにしっかりフタをしめても、空気にふれてしまうため、劣化は避けられません。開けたら早めに飲みきりましょう。ウイスキーの歴史
ウイスキーの発祥にはアイルランド説とスコットランド説の二つがあります。もともと人類は紀元前からアルコールを飲んでいたとされており、ウイスキーの歴史もかなり古いものであることは間違いないでしょう。 アイルランド説の根拠となっているのは、1172年にイングランド王だったヘンリー2世がアイルランドに侵攻した時に、アイルランドの人々が大麦を原材料として蒸留された酒を飲んでいたとの伝聞が残っていることです。ただしあくまでも伝承のみで、物証が残っているわけではありません。 スコットランド説の根拠となっているのは15世紀にモルトを使って酒を製造していたという文書が残っていることです。時代が時代だけに決定的な確証はありません。いずれにせよ、アイルランドでもスコットランドでも17~18世紀にはウイスキーの製造がさかんにおこなわれており、それよりもかなり前からウイスキー文化があったと考えるのが妥当でしょう。 18世紀から19世紀にかけて、アイリッシュウイスキーは世界各地に広まりました。最盛期には世界のウイスキーの約6割がアイルランド産のものだったと言われています。 19世紀にスコットランドで大量生産が可能で飲みやすいブレンドウイスキーが誕生し、第2次世界大戦中にアメリカ軍の兵士がスコッチを飲んだことから、世界各地にスコッチが広まったのです。 現在ではスコットランド、アイルランドの他に、日本、アメリカ、カナダがウイスキーの製造が盛んな国として認知されており、世界五大ウイスキーと呼ばれています。共通点はそれぞれの国に豊かな自然があり、おいしい天然水があるということ、そしてウイスキー作りの独自の製法と技術を開発していることです。
ブランデーの歴史
ブランデーの発祥に関してもいろいろな説があるのですが、文献で確認できる最古のものでは、13世紀にスペイン人の医者、アルノー・ド・ビルヌーブがワインを蒸留して気つけ薬として使ったのが最初とされています。 ブランデーが本格的に広まったのは16~17世紀の大寒波と宗教戦争の影響によってでした。大地が荒廃して、ぶどうの不作が続き、ワインの品質が低下。そのため、長時間の輸送をした際にワインの味の劣化が目に付くようになり、味の劣化を避けるために、ワインを蒸留して運ぶことになったのです。このことで、ブランデーが広まったとされています。 ブランデーの語源はノルウェー語で焼いたワインを意味する「Brandewijn」です。ワインよりもアルコール濃度が高いため、1度に飲む量が少なくて済むことから、結果的に輸送コストが下がり、酒税も安く済むというメリットもありました。また味も良かったため、世界各地に広まったのです。 1713年にはルイ14世がフランスで製造されたブランデーを保護するための法律を制定しました。現在ではそれぞれの国や地域の酒を保護する目的の法律が数多く存在します。この事実はアルコールがその土地の文化や経済と密接に関わっていることの証しと言っていいでしょう。
代表的なウイスキーの種類
穀物類を原料とするウイスキーですが、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの材料の違い、製造方法の違いによっても細分化されています。いくつか代表的なウイスキーを紹介しましょう。スコッチとアイリッシュウイスキー
ウイスキー発祥の地という説のあるスコットランドとアイルランドはそれぞれ代表的なウイスキーの産地でもあります。スコットランドのウイスキーがスコッチです。大麦と麦芽のみで製造したものをモルトウイスキー、トウモロコシと麦芽とを5対1の比率で調合したものをグレーンウイスキー、両方を適宜ブレンドしたものをブレンデッドウイスキーと呼びます。 大きな特徴となっているのはピート(泥炭)を燃やして麦芽をいぶす工程があること。ピートの煙によって独特のスモーキーな味わいが生まれるのです。 アイルランド共和国と北アイルランドで作られているのがアイリッシュウイスキーです。アイルランドの法律によって製造方法や材料が厳密に定義されています。特徴的なのはアイルランド共和国、もしくは北アイルランドの倉庫で木製の樽に入れて3年以上熟成させるという条件が付けられていること。 また3回蒸留させる、ピートを使わないなど、独自の製法によって、雑味の少ないピュアでなめらかな味が特色となっています。世界最古のオールド・ブッシュミルズ蒸留所、1757年に創業して、一度は製造を停止していたものの近年復活したキルベガン蒸留所など、歴史ある蒸留所がいまも点在。世界各地からアイリッシュウイスキーの愛好家が訪れる観光名所にもなっています。バーボン
バーボンはアメリカのケンタッキー州を中心として作られているウイスキーです。トウモロコシを原料としており、トウモロコシの含有率が51%以上のものと法律で定められています。マイルドな味わいで、風味が強いのが特徴です。 日本ではバーボンというと、ジャックダニエルが有名ですが、ジャックダニエルの産地はケンタッキー州ではなくて、テネシー州のため、正式の分類ではバーボンではなくて、テネシーウイスキーとなっています。代表的なブランデーの種類
ブランデーは原料としてぶどうが使われているものが多いのですが、りんご、さくらんぼ、洋梨などの果実で作られるものもあり、それぞれ名称が付けられています。代表的なブランデーを紹介しましょう。
コニャックとアルマニャック
フランスのコニャック市の周辺で作られているブランデーがコニャックです。原料になっているのはユニブランという品種のブドウ。柔らかくて濃厚でフルーティーな味わいが特徴になっています。熟成年数によってレベルがあり、スリースター、V.S.、V.S.O.P、ナポレオン、X.O.、オル・ダージュと表記されており、オル・ダージュは25年以上の年月、熟成されたものです。 フランスのアルマニャック地方で作られているブランデーがアルマニャックです。ユニブランとバコという2種類のブドウをブレンドして製造されています。コニャックが単式蒸留機で2回蒸留されるのに対して、アルマニャックは半連続式蒸留機で1回だけ蒸留されているため、味わいはコニャックよりも野性的です。 コニャックと同じように熟成年数によって、スリースター、V.S.、V.O、V.S.O.P、ナポレオン、X.O.、オル・ダージュというレベル表記があります。コニャックの多くが大手によって製造されているのに対して、アルマニャックは小規模農家の地酒として製造されてきた歴史的な背景があり、素朴さも魅力的です。カルヴァドス
カルヴァドスはりんごが原料のブランデーです。カルヴァドスという呼称の使用はフランス北西部のノルマンディ地方で製造されたもののみに許可されています。アルコール度数が高いわりに、飲みやすく、香りが高いのが特徴です。カクテルベースとして用いられている他、スイーツでも使われるなど、幅広い使用方法で親しまれています。ウイスキーのおいしい飲み方は?
ウイスキーは深い味わいを持った洋酒です。ここではそのおいしい飲み方を紹介しましょう。味わいを楽しもう
ウイスキーの味と香りをしっかり味わうにはストレートがいいでしょう。チェイサー(水)を用意し、ストレートで味わった後にチェイサーで口の中をリフレッシュすることによって、ふた口目からも新鮮な気分で味と風味を堪能できます。 オンザロックにして冷やすことによって、味がまろやかになるので、飲みやすさを重視するならば、オンザロックもおすすめです。氷が溶けると薄くなってしまうので、溶けにくい大きめの氷を使いましょう。好みの割り方の比率を見つけよう
ウイスキーは水やソーダで割ることによって、表情が変化するお酒です。まろやかさが増したり、風味が際立ったり、香りが立ったりします。その変化を楽しむのもウイスキーの醍醐味のひとつ。ハイボールと呼ばれるソーダ割はウイスキー1に対して、ソーダ3の割合が基本ですが、自分で作る場合には好みに応じて比率を変えるのもいいでしょう。 水割りにする場合には、水とウイスキーの比率だけでなく、冷えた水で割るのか、常温の水で割るのかによっても味わいが変わります。寒い季節ならば、お湯割りにしてホットウイスキーがおすすめ。冷え切った体を内部からホカホカにするという効果もあります。いろいろ試してみて、好みの配合を見つけてください。ブランデーのおいしい飲み方は?
ブランデーはさまざまな楽しみ方ができる洋酒です。おいしい飲み方を紹介しましょう。
香りを楽しもう
ブランデーの大きな魅力となっているのは豊潤な香りです。香りをしっかり味わうためには常温で飲むのが基本。もっと厳密にいうならば、18度~20度くらいが適温とされています。この温度よりも低くなると、香りがあまり立たず、温度が高くなると、アルコールの匂いがきつくなってしまうのです。ブランデーグラスでストレートで飲もう
香りをしっかり味わうにはストレートが適しています。グラスにブランデーを注ぎ、色と香りを楽しんでから、口に含むのがいいでしょう。ブランデーは味覚だけでなく、視覚、嗅覚によっても楽しめるお酒なのです。チューリップ型をしたブランデーグラスを使うことで、香りを堪能できます。このとき、手のひらで温めすぎるとアルコールの匂いが強まるので注意しましょう。おすすめのカクテル
ブランデーは香りが高く、フルーティーな味わいなので、カクテルのベースとしても重宝されています。ここではブランデーを使ったおすすめのカクテルを紹介します。アレクサンダー
アレクサンダーはブランデーとカカオリキュールと生クリームをミックスしたもの。口当たりの良さと豊潤な香りが人気です。サイドカー
サイドカーはブランデーとレモンジュースとホワイトキュラソーをブレンドしたカクテル。すっきりとした爽やかな味わいが魅力です。ニコラシカ
ブランデーのカクテルで特に有名なのはニコラシカ。ブランデーをグラスに注いだのちに、輪切りにしたレモンでフタをして、そのレモンの上に砂糖をのせて、そのレモンと一緒にブランデーを一緒に飲みます。つまりカクテルとなるのは口の中。糖質もたっぷり、飲み過ぎの可能性も高くなり、色々な意味で刺激的なカクテルと言っていいでしょう。カフェ・ロワイヤル
ブランデーとコーヒーをミックスしたカクテルがカフェ・ロワイヤルです。ブランデーを染みこませた角砂糖をスプーンに乗せて火を付けて、コーヒーの中に投入するという独特の飲み方が特徴的。部屋を暗くすると、青い炎が見えるため視覚的な楽しさもあります。ナポレオンが好んだとされているカクテルです。ウイスキーとブランデーのヘルシーな楽しみ方
ウイスキーやブランデーを飲みたいけれど、ダイエット中なので、カロリーや糖質が気になるという人もいるのではないでしょうか。ここではウイスキーとブランデーのヘルシーな飲み方を紹介しましょう。